映画「フライト」

映画「フライト」 ~ストーリー後半~

ストーリー(後半)

酒を飲んで操縦した事がばれたら、というプレッシャーに打ち勝てず、ウィトカーはますます酒に溺れていった。ニコールはそんなウィトカーに呆れはて、置手紙を残して農場を後にするのだった。数日後、ウィトカーはチャーリーとヒューによって事故機の残骸を保存している格納庫に呼び出される。あのあと、監視が付いているから酒は控えるようにと言われていたにも関わらず、連日にわたって酒浸りになっているウィトカーに、チャーリーは怒りを露わにする。さらに最悪なことに、事故機のゴミ箱の中からウォッカの空き瓶が2本見つかったと伝えられる。あの日、天候不良のために飲み物の提供はしていなかった。とすれば飲んだのは乗務員の誰かということになる。ウィトカーは自分が飲んだことを認め、3本飲んだはずなのに1本足りないなと軽口を叩くのだった。チャーリーとヒューはウィトカーの軽率な行動を非難する。ウィトカーはたまらず、その場から逃げ出そうとするが、ヒューはそれを呼び止める。あの後、NTSBによって事故の再現と操縦のシミュレーションを10人のパイロットで行ったが、誰一人として無事に飛行機を着陸させることはできなかった、とウィトカーに告げる。96人の命を救ったのは、間違いなくウィトカーだった、と。

ウィトカーの転機

心の晴れないウィトカーはバーへと足を運ぶ。すると、副操縦士のエヴァンスが昏睡状態から目を覚ましたというニュースがテレビに流れる。さっそく病室を訪れると、エヴァンスの怪我は思ったよりも重傷だった。両足を骨折し、骨盤もやられたエヴァンスは、歩くことはおろか二度と飛行機の操縦は出来ない。落ち込むエヴァンスにかける言葉が見つからないウィトカー。エヴァンスは言う。「あなたが乗った瞬間にあの機は終わっていた。墜落までのすべてを覚えています。あなたからジンか何かの匂いがした。あなたの操縦でなければ皆死んでいた。しかしあなたの体調はベストではなかった。」と。敬虔なクリスチャンのエヴァンスは、命が助かったのは神に祈ったからだとも言うのだった。ウィトカーを責めることも、讃えることもしないエヴァンスの態度に、ウィトカーの心は乱される。恋人に死なれ、心のよりどころとなっていたニコールにも見捨てられたウィトカーは、泥酔した勢いで別れた妻と息子に会いに行く。酒の匂いをまき散らしながらやってきたかつての夫に、妻は冷たい視線を投げかける。高校生の息子は、「さっさと帰れ!」と父を突き飛ばす。妻が警察に電話をしている隙にウィトカーは息子を無理矢理抱きしめようとして遂に追い出されてしまう。家の外には報道陣が待ち構えていた。泥酔している様子をカメラに撮られてしまっては裁判で不利になると、ウィトカーは逃げるように帰っていくのだった。

決意

ウィトカーが農場へ戻ると、どこから嗅ぎつけたのか報道陣がここにも待ち構えていた。もうここにはいられないと決意したウィトカーは、チャーリーの家を訪ねる。チャーリーは安易に元妻を訪ね、カメラに撮られてしまったウィトカーを非難する。家族にも恋人にも見放されてようやく目が覚めたウィトカーは、今度こそ酒を断つと決心し、10日後の公聴会までチャーリーの家で過ごすことに決めた。その言葉通り、ウィトカーは9日と22時間に渡って酒を断ったのだった。公聴会の前日。チャーリーとヒューはウィトカーを公聴会が行われるホテルへとチェックインさせる。部屋の冷蔵庫にはノンアルコールの飲み物だけを置き、部屋の外には見張りを立たせ、ウィトカーがこの一晩酒を飲まずに過ごせるようにと万全の体制をとった。この一夜さえ乗り切れば、ウィトカーは罪を逃れられるのだ。今日だけは飲むなと念を押し、チャーリーとヒューは部屋を後にした。ウィトカーは明日に備えてベッドに入る。が、しばらくすると隣の部屋からノックの音が聞こえてくる。隣の部屋に繋がるドアは施錠されておらず、音の正体が気になったウィトカーは隣の部屋へと入ってみる。音の正体は、バルコニーのドアだった。風でドアが壁に辺り、ノックのような音がしていたのである。ウィトカーはドアを閉め、自分の部屋へと戻ろうとするが、ふと冷蔵庫に目が行ってしまう。開けるとそこにはアルコール類が山ほど詰まっていた。ウィトカーはウォッカの瓶に手を伸ばし、蓋を開けようとするが、思いとどまる。しかしやはり誘惑に負け、手を伸ばしてしまう。蓋をあけ、だが自制心を取り戻したウィトカーは再び瓶から手を放すのだが・・・。

公聴会当日

公聴会を1時間後に控え、チャーリーとヒューはウィトカーの部屋を訪ねる。だが2人はその部屋の光景に愕然としてしまう。家具はひっくり返り、壁の額縁は傾き、そこかしこに酒の空き瓶が転がっているのだ。肝心のウィトカーはと言えば、バスルームで頭を打ち、額から血を流しているばかりか、話も通じないほど泥酔していた。チャーリーとヒューはパニックに陥るが、ウィトカーは2人にハーリンを呼んでくれと頼む。やってきたハーリンの怪しげな雰囲気にチャーリーとヒューは戸惑う。ハーリンが出したのはコカインだった。これで目を覚ますというのだ。ハーリンと2人でコカインを楽しんだウィトカーは、すっかりいつも通りの状態へと戻っていた。額の傷はサングラスで隠し、しっかりとした足取りで公聴会へと向かう。そしてついに公聴会が始まった。ウィトカーの血液から検出されたアルコールとコカインについては、ヒューの尽力で医療機器の不備ということになっていた。ウィトカーは自分はアルコール依存症ではないし、フライトの当日も飲酒はしていないと飄々と答える。その他の質問にも上手く答え、ウィトカーはその場をしのいだかのように思えた。そして最後に、問題のウォッカの空き瓶についての質問がなされる。NTSBは、乗務員がウォッカを飲んだことは間違いないという。そして、死亡した2人の乗務員も含め、血液からアルコールが検出されたのはたった一人、亡くなったトリーナだけだったと。捜査班のリーダーのエリックは、ウィトカーに問う。「あなたは、ウォッカを飲んだのはトリーナだと思いますか?」と。ウィトカーは言いよどむ。スクリーンにはトリーナの写真が大きく映し出される。ウィトカーは「トリーナはあのウォッカを飲んでいません。私が飲んだのです。」と、ついに真実を口にするのだった。

その後

ウィトカーには、懲役5年という刑が下った。刑務所のウィトカーの部屋には「断酒1年」と書かれたボードがあった。逮捕されてようやく、酒を断つことが出来たのだ。ウィトカーは遺族に手紙を出していた。許してくれる人も、許してくれない人もいた。別れた妻や息子にも、手紙を書いた。ウィトカーは言う「俺は人生ではじめて、自由になった」と。刑務所の中という自由とはかけ離れた場所でも、ウィトカーは自分の嘘と酒から解放され、本当の自由を手に入れていたのだ。そんなウィトカーの元に、息子が訪ねてくる。2人は心からの抱擁を交わす。息子は大学進学のためにエッセイを書くため、父にインタビューをしに来たのだ。エッセイのタイトルは「僕の出会った最高の人」。息子がレコーダーのスイッチを入れ、ウィトカーに聞く。「父さんって何者なの?」。ウィトカーは応える。「いい質問だ」と。