映画「フライト」

映画の概要

映画の概要

この映画はデンゼル・ワシントン、ドン・チードル、メリッサ・レオ、ブルース・グリーンウッド、ケリー・ライリー、ジョン・グッドマンなど豪華キャストが出演していることで話題となりた。監督のロバート・ゼメキスは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズや「フォレスト・ガンプ/一期一会」で知られる監督ですが、近年はCGアニメーション映画に活躍の場を移しており、長らく実写映画からは遠ざかっていて、2000年の「キャスト・アウェイ」以来、実に12年振りの実写映画でした。ゼメキスはジョン・ゲイティンズによる本作の脚本を絶賛しており、「この脚本の素晴らしいところは登場人物が次に何をするか分からないことだ。物語の結末や主人公の行く末を知りたくなるんだよ。読み出すと止まらなかった」と語っています。度々飲酒運転やコカインを吸う描写が出るため、アメリカではR指定、日本ではPG12指定を受けました。1本目の予告編では2012年6月6日に公開されました。日本では前述の通り、航空サスペンスのように宣伝されたのですが、実際の内容はアルコール依存症の主人公を描いたヒューマンドラマであり、コカインなどの描写も冒頭で登場するにも関わらず、予告ではまったく触れられることがありませんでした。そのため、日本では肩すかしを食らったような気分になる鑑賞者が多かったようです。また、この映画はフィクションなのですが、水平尾翼の異常により機体が急降下したことや、事故原因が尾翼部分のネジの交換を怠ったことにより、ねじ山が無くなっていたこと、加えて背面飛行をおこなったことなどの共通点が多く見られることから「アラスカ航空261便墜落事故」をモデルにしたと考えられています。そこから多くの乗客・乗員の生還を前提にするため、燃料放出を可能にする機材の条件変更(261便には燃料放出が出来ない機体だった)や、あらすじの脚色を行ったうえで映画化したと考えられています。


評価

映画評論家による映画レビューをまとめたサイト「Rottenn Tomatoes」では168のレビューの下で77%の支持を獲得するという高い評価を得ました。また「シカゴ・サンタイムズ」のロジャー・イーバートは星4つの満点をつけています。タイム誌では、「航空機事故を描いた映画史上最も恐ろしく、リアルな作品。本作は映画学校で教材にすべき名作だ」と絶賛しています。第85回アカデミー賞では、脚本賞と主演男優賞のノミネートされ、デンゼル・ワシントンは3度目のオスカー受賞が期待されたのですが、いずれも受賞には至りませんでした。以下は主な映画賞のノミネートと受賞一覧です。

アカデミー賞

  • 主演男優賞ノミネート・・・デンゼル・ワシントン
  • 脚本賞ノミネート・・・ジョン・ゲイティンズ

ゴールデン・グローブ賞

  • 男優賞ノミネート・・・デンゼル・ワシントン

放送映画批評家協会賞

  • 主演男優賞ノミネート・・・デンゼル・ワシントン
  • オリジナル脚本賞ノミネート・・・ジョン・ゲイティンズ

FAAAFブラック・リール賞

  • 主演男優賞受賞・・・デンゼル・ワシントン

NAACPイメージ・アワード

  • 主演男優賞受賞・・・デンゼル・ワシントン

アフリカン・アメリカン映画批評家協会

  • 主演男優賞受賞・・・デンゼル・ワシントン

スタッフ

  • 監督・・・ロバート・ゼメキス
  • 脚本・・・ジョン・ゲイティンズ
  • 製作・・・ローリー・マクドナルド、ウォルター・F・パークス、ジャック・ラプケ、スティーヴ・スターキー、ロバート・ゼメキス
  • 製作総指揮・・・シェリラン・マーティン
  • 音楽・・・アラン・シルヴェストリ
  • 撮影・・・ドン・バージェス
  • 編集・・・ジェレマイア・オドリスコル
  • 製作会社・・・パークス/マクドナルド、イメージムーバーズ
  • 配給・・・パラマウント映画

総評

何度も言いますが、この映画は予告の印象と実際の内容が大きく違うのが特徴だと思います。クライムサスペンス的な、法廷で争ったり、証拠を小出しにして追い詰めたり、論破したりといった映画を期待してみると、冒頭からビックリしてしまうと思います。予告では主人公が酒を飲んだか、飲んでいないのか、が争点のように見えますが、観客はウィトカーが飲酒していることも、薬物も吸ってることも知っています。でも、よく考えたらそれは私たち観客がウィトカー側から見ているからであって、調査班側からの視点で描くと、期待したようなクライムサスペンスになる物語なのだなと気付きました。描く側の視点を変えるだけで、物語の印象はこうも変わるというのが分かって、大変勉強になりました。ちょっと強引な展開だなと思うところもありましたが、全体的にみてとても見応えのある面白い映画だったと思います。特に飛行機墜落のシーンは大きなスクリーンでもう一度見たいくらいです。ただ映画の本質はそこではなく、一人の人間がアルコール依存症から立ち直るまでの課程を負ったヒューマンドラマがメインです。自分に甘い、弱い人間が、こうもずるずると酒やドラッグに溺れていくさまを見ると、自分をもっと戒めなければという気持ちがふつふつと湧いてきました。嘘で塗り固められた自分のこれまでと決別し、酒を断ってやっと自由になれたと微笑むウィトカーを見るととても清々しい気持ちになれました。あの時ウォッカの空き瓶を捨てていなかったら、ウィトカーは一生自分の嘘から逃げられなかったことでしょう。彼が立ち直る姿を見てほっとしたのは私だけではなかったのではないかなと思います。