映画「フライト」

お勧め作品「グローリー」

この映画は1989年にアメリカで公開された映画です。アメリカ南北戦争において実在したアメリカ合衆国初の黒人部隊を描いた戦争映画です。この映画で黒人兵士役を演じたデンゼル・ワシントンは、第62回アカデミー賞及び第42回ゴールデングローブ賞の助演男優賞を受賞しました。この映画がデンゼル・ワシントンの出世作となったといっても過言ではありません。彼の輝かしい俳優人生の始まりとも言うべき1作です。


ストーリー(ネタバレ)

1860年代初頭、南北戦争の真っただ中のアメリカで、喜多郡司令官のロバート・グールド・ショーは、知事から黒人だけで組織される第54連隊の指揮官を勧められます。ショーはそれを受け入れ、友人の白人士官キャボット・フォーブスと、幼馴染の黒人シアーレスも、第54連隊に志願しました。やがて、噂を聞きつけた沢山の黒人たちが入隊を志願してきます。しかし、そのほとんどが南部から逃れてきた元奴隷で、彼らは食事と軍服を目当てに入隊を志願していたのでした。ショーは彼らを徹底的に鍛えていきます。過酷な訓練の中で彼らは元来の運動能力の高さをいかし、めきめきと成長していくのでした。しかし、奴隷解放を謳う北軍の中にあっても、人種差別は色濃く残っていました。54連隊には必要物資も中々配給されず、靴さえももらえない状態だったのです。黒人差別を嫌うショーは自ら軍に掛け合って、部隊の必要物資の獲得に駆けずりまわるのでした。最初はショーを信用していなかったリーダー格のローリングや白人を憎むトリップ、狙撃の名手のシャーツなども、ショーのひたむきな態度に徐々に信頼関係を築いていくのでした。しかし、部隊の士気は下がりつつありました。リンカーン大統領の命令で、黒人兵は戦闘に加わることができないのです。略奪や肉体労働ばかりの黒人兵士の仕事に業を煮やしたショーは、総司令官にそれを訴えて脅かしたことで、連隊はようやく実際の戦闘に加わることができるようになります。そして彼らは次々に、めざましい戦果をあげていくのでした。勢いづいた第54連隊は、難攻不落の南軍の砦フォート・ワグナーの攻撃を、部隊全滅を覚悟で志願します。戦いの前夜、兵士たちは輪になってゴスペルを謳います。ショーはこれまで家畜同然に扱われていた黒人兵士たちに向かって、「俺たちの戦いには誇りがある。人間としての誇りだ」と、語るのでした。そして南北戦争の雌雄を決するこの壮絶な死闘で、第54連隊の命ははかなくも散っていくのでした。第54連隊は全滅こそしましたが、その勇敢な戦いはその後の北軍に多くの黒人部隊を誕生させるきっかけとなり、その勝利に大きく貢献することになるのでした。


キャスト

  • ロバート・グルード・ショー大佐・・・マシュー・ブロデリック
  • トリップ・・・デンゼル・ワシントン
  • キャボット・フォーブス少佐・・・ジョン・フィン
  • ジョン・ローリンズ曹長・・・モーガン・フリーマン
  • シャーツ・・・ジミー・ケネディ
  • トーマス・シアーレス・・・アンドレ・ブラウアー
  • マイケル曹長・・・ジョン・フィン
  • モールス・・・ドノヴァン・リーチ
  • ラッセル・・・デヴィッド・カラム
  • アンドリュー知事・・・アラン・ノース
  • フランシス・ショー・・・ピーター・マイケル・ゴーツ
  • ミセス・ショー・・・ジェーン・アレクサンダー
  • ハーカー将軍・・・ボブ・ガントン
  • モントゴメリー大佐・・・クリフ・デ・ヤング
  • ピアース・・・クリスチャン・バスコウス
  • ストロング将軍・・・ジェイ・O・サンダース

スタッフ

  • 監督・・・エドワード・ズウィック
  • 製作・・・フレディ・フィールズ
  • 原作・・・リンカーン・カースティン、ピーター・バーチャード、ロバート・グルード・ショー
  • 脚本・・・ケヴィン・ジャール
  • 撮影・・・フレディ・フランシス
  • 音楽・・・ジェームズ・ホーナー
  • 美術・・・ノーマン・ガーウッド
  • 編集・・・スティーヴン・ローゼンブラム

根深い人種差別の闇

この映画はアメリカ南北戦争の時代に、初めて黒人だけの部隊として作られた第54連隊の戦いを描いています。史実に基づいた映画で、本作の主人公ロバート・グルード・ショー大佐は実在した人物です。ショーはマサチューセッツ州のボストンの著名な奴隷解放論者の家に生まれました。そのため、黒人差別に対して嫌悪感を持っており、知事から第54連隊の隊長となるよう命じられたときも、一度は断りましたが、最終的にはその命を受けました。そもそも南北戦争は奴隷制度を撤廃しようという北軍と、それに反対する南軍の戦いでした。黒人を奴隷とすることを否とする北軍の内部にすら、黒人差別が当たり前のように残っていたということがこの映画を見ると分かります。そういう点を見ると、いかに黒人差別の根が深いかということが分かります。ショーはそんな中で黒人差別と真っ向から戦い、第54連隊を伝説の隊にまで育て上げたのです。映画では黒人兵士たちが不当に抑えられた賃金の受け取りを拒否するシーンがありますが、実際にはこの受け取り拒否は黒人兵の自発的意志によるものではなく、その事実を知ったショーが黒人兵たちに示唆したものだったそうです。ショー大佐はワグナー要塞の攻撃で戦死していますが、彼の最期のセリフ「第54連隊前!」は、事実に基づいたものでした。彼の亡骸は他の戦死者と共に穴に放り込まれて埋葬されましたが、これは南軍がショーを侮辱した行為でした。後に北軍士官の遺体が返還された時においても、ショーの遺体だけは黒人兵と一緒に埋葬されたままでした。しかし、後にショーの父親は「息子がそのような方法で埋葬されたことを誇りに思っている。」と語っています。この映画を見ると、彼らは何のために戦い、そして死んだのかと考えさせられます。ショーは映画の中で「俺たちには誇りがある」と言っていましたが、人間としての誇りを示すために死ぬことを覚悟で要塞に突撃しなければならない彼らの気持ちは、今の平和な日本でぬくぬくと暮らす私たちには到底理解しえない感情なのではないかと思いました。アメリカの歴史を変えた誇り高い戦士たちの物語は、きっと長らく語り継がれていくのだと思います。彼らの気持ちを理解できないくらい平和な世の中なのはは幸せなことなのかもしれませんが、彼らの活躍の上にその平和が成り立っていることを忘れてはいけないと改めて感じました。