映画「フライト」

お勧め作品「キャスト・アウェイ」

ロバート・ゼメキス監督と飛行機墜落と言えば、最近ではやはり「フライト」ですが、その前にも実はとても迫力のある墜落シーンを過去にも一度撮影しています。それが見られるのが「キャスト・アウェイ」です。この物語は、運送業者でエリート社員として働く主人公が、貨物飛行機に乗って出張中に嵐に巻き込まれ、無人島に流れ着いてそこでたった一人でサバイバルをするという物語です。主役のチャック・ノーランドは、トム・ハンクスが演じました。


ストーリー(ネタバレ)

主人公のチャックは、巨大運送会社フェデックスの管理職をしています。時間に厳しいチャックは、「お客様の大切な荷物は1分たりとも遅れてはならない」というのが信条で、今日も社員たちに発破をかけ、自らも忙しく働きます。チャックが仕事を頑張るのには理由がありました。恋人のケリーと結婚しようと考えていたのです。季節はもうすぐクリスマス。仕事の合間を縫ってチャックとケリーは二人だけの時間を過ごします。2人はプレゼントを交換します。ケリーはチャックに、祖父の形見の懐中時計に自分の写真を入れて渡しました。チャックはケリーに小さな小箱を渡します。彼は、これから仕事で貨物便にのりタヒチへ行くのですが、大みそかには帰るので、その時に箱を開けてと伝えます。ケリーはその箱の中身が婚約指輪だとすぐに気が付きました。しかしチャックは大みそかに戻ってくることはありませんでした。彼の乗った貨物飛行機は嵐に巻き込まれて墜落してしまったのです。

無人島

目が覚めるとチャックは砂浜に打ち上げられていました。どうやらそこは無人島のようで、他のクルーたちは助からなかったことが分かります。チャックが乗っていた貨物飛行機に乗せていた荷物や、クルーの死体も流れてきました。ですがその他にこの島には何もありません。遠くに船の明かりを見つけ、一緒に流れ着いてきたゴムボートで島からの脱出を図ろうとしますが、島の周りは岩や珊瑚だらけでゴムボートでは乗り越えられないほど大きな波を起こしていたのです。島から脱出するどころか、波にもまれてボートから落ちたチャックは背中や足の至るところをけがしてしまいました。チャックは何とか生き延びなければと、食べられるものがないか探します。しかし、島にはヤシの木しか生えておらず、ヤシの実はそこかしこに落ちていますが、硬くて割ることもできませんでした。

サバイバル生活の始まり

数日間、たった一人で無人島で過ごしたチャック。心の支えは懐中時計の中の恋人・ケリーの写真だけでした。もはや助けは来ないと悟ったチャックは、流れてきた荷物を開封し始めます。しかし、出てきたものはスケート靴に女性用のドレス、バレーボール、離婚同意書など、役に立たないものばかりでした。チャックは荷物の中にあった天使の羽根が描かれた箱だけは、開けずにとっておくことにしました。チャックはその日から、無人島で逞しく生きていくことを選択します。石をとがらせて刃物を作ってココナツを割り、海ではカニを捕まえて食糧にします。カニを生で食べようとしたチャックでしたが、中身がドロドロでとても食べられそうにありません。そこで木の板と枝をこすりあわせて火を起こそうと奮闘します。中々うまくいかず、手は血だらけになってしまいます。苛立ちを抑えられないチャックは荷物にあったバレーボールを思いっきり投げつけます。チャックは、自分の血で手の跡が付いたバレーボールを見て、顔を書き足し、彼に“ウィルソン”という名前を付けました。チャックはウィルソンに話しかけ、時に励ましてもらいながら無人島で生活していくのでした。

4年後

飛行機が墜落してから4年の月日が経ちました。無人島には痩せて筋肉がつき、髭も髪も伸び放題になったチャックの姿がありました。もはや火をつけるのも魚を獲るのも朝飯前となったチャック。相変わらず彼のそばにいるのは、バレーボールのウィルソンと、懐中時計の中のケリーだけでした。ある日、チャックの島にトタンとドアが流れ着きます。チャックはそれを帆にして筏を作れば、あの荒波を超えられるのではないかと考えました。チャックは潮の流れと風向きを計算し、島のヤシの木を切って筏を作ります。大切な友達のウィルソンも落ちないように船首に括りつけました。決死の覚悟で大海原に漕ぎ出すチャック。荒波を乗り越え、4年間を過ごした島を後にするのでした。しかし旅はそう簡単には終わりません。いくら筏を漕いでも、島にも船にも行き当らないのです。疲労も溜まってきたある日、チャックをウィルソンの筏は嵐の直撃を受けます。波の衝撃を受けたウィルソンは、船首から落ちてしまいました。チャックは必死に彼を追いかけますが、もはや追いつけないところにまで流れてしまいます。チャックはウィルソンに向かって「許してくれ・・・!」と叫ぶしかないのでした。親友を失い、失意のどん底に落ちたチャック。もはやオールを漕ぐ力も残っておらず、ただただ筏に横たわり、波に任せて漂うだけとなっていました。意識も朦朧としだした頃、鯨の吹き上げる潮で目を覚ましたチャックの目の前に、大きな船が現れます。チャックはもはや「ケリー」とつぶやくことしかできませんでした。

奇跡の帰還

救助されたチャックは、実に4年振りに故郷へと帰ってきます。チャックの奇跡の帰還に世間は大盛り上がり。フェデックスの社長はチャックの帰還を祝してパーティまで開いてくれました。パーティには豪華な食事とかつての同僚たち。しかしチャックの心は晴れません。帰国から4ヶ月が経ち、チャックはかつての恋人ケリーに逢いに行きます。しかし、彼女はもう結婚していて子供もおり、温かい家庭を築いていたのでした。チャックの帰還に驚くケリー。一度はそっけない素振りを取りますが、彼女が結婚していることを知り、立ち去るチャックの背中に、ケリーは思わず駆け寄ります。ケリーは未だにチャックを愛していたのでした。しかし、チャックはケリーの家庭を壊すことを良しとしませんでした。そして、ケリーもそのことを理解していました。2人はもう二度と会うことはないと知りながら、静かに別れるのでした。

最後の仕事

ケリーに再会することだけを心の支えに生きてきたチャック。この後、どうやって生きて行けばいいのか分からなくなってしまいます。ふと、島で唯一開封しなかった荷物のことを思い出します。羽根の絵が描かれたあの荷物です。チャックはその荷物を届けに行くことにしました。届け先の家に着くと、家には誰もいませんでした。チャックは「遅くなりました」とメッセージを添えて荷物を置いてきます。これで本当に何もなくなったチャック。十字路に立ち、この先どこへ行こうかと地図を広げると、一人の女性が声を掛けてきます。チャックが道に迷っていると勘違いしたのでした。親切な女性はチャックに道を教え、去っていきます。チャックの目の前には広大でどこまでも続く道が広がっているのでした。


キャスト

  • チャック・ノーランド・・・トム・ハンクス
  • ケリー・フレアーズ・・・ヘレン・ハント
  • スタン・・・ニック・サーシー
  • ベッカ・トウィグ・・・ジェニファー・ルイス
  • ユーリ・・・ピーター・フォン・バーグ
  • ジェリー・ロベット・・・クリス・ノース
  • ベッティーナ・ピーターソン・・・ラリ・ホワイト
  • レイモン・・・ポール・サンチェス

スタッフ

  • 監督・・・ロバート・ゼメキス
  • 脚本・・・ウィリアム・ブロイルズ・ジュニア
  • 製作・・・スティーヴ・スターキー、トム・ハンクス、ロバート・ゼメキス、ジャック・ラプケ
  • 製作総指揮・・・ジョーン・ブラッドショウ
  • 撮影監督・・・ドン・バージェス
  • 美術・・・リック・カーター
  • 編集・・・アーサー・シュミット
  • 作曲・指揮・・・アラン・シルヴェストリ
  • 衣装・・・ジョアンナ・ジョンストン
  • VFXスーパーバイザー・・・ケン・ローストン
  • VFX・・・ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス
  • サウンドデザイン・・・ランディ・トム
  • アソシエイトプロデューサー・・・スティーヴン・J・ボイド
  • キャスティング・・・ヴィクトリア・バロウズ

トム・ハンクスの役者魂に感動!

この映画は私の好きな映画トップ10に入るくらいのお気に入りです。飛行機が墜落してしまい、たまたま生き残ってしまった主人公のチャックが、たった一人で彼女に再会する事を祈りながらサバイバルするというストーリーです。無人島でのサバイバルなので、144分の映画の中でほとんどがトム・ハンクスの一人芝居で、セリフも少ないのですが、彼の表情や行動だけで本当に色々な思いが伝わってくるのがすごいのです。自分の血の跡で作った親友ウィルソンにももちろん話しかけますが、彼はバレーボールなので一言も話しません。それは一見すると滑稽で、実際チャックも「こんなバレーボールに話しかける毎日なんて!」と我に返り、ウィルソンを捨てたりするのです。ですが、直後に「ごめんよ、ウィルソン」などと言って必死で探します。チャックにとっては一方的な話し相手だったとしてもウィルソンの存在は大きかったのです。4年間気を狂わすことなく過ごせたのは間違いなく彼のお陰です。ですからウィルソンとの別れのシーンには涙が止まりませんでした。たかがバレーボールなのですが、チャックにとっては心の支えであり、観客にとってもそれは同じだったからです。チャックがウィルソンに向かって叫ぶ「許してくれ!」という悲痛なまでの叫びは、ずっと心に残っています。トム・ハンクスはこの映画の役作りのために、22.7㎏も減量したのだそうです。「4年後」というテロップと共に現れるチャックは、逞しく引き締まっていて、本当に無人島で過ごしていたかのようです。もはやほとんどしゃべらないチャックですが、その表情から決意や不安や希望を見ることができて、やはりトム・ハンクスは凄いと思わされました。最後はちょっと切ないながらも、チャックの明るい未来を予見させる終わり方になっていて、胸に迫るものがあります。生きる意味って何なんだろうと考えさせられる映画です。